歯周再生療法

骨の再生を図る治療法
～歯周組織再生療法（エムドゲイン再生療法）〜

歯周組織再生療法（エムドゲイン再生療法）について

歯周病によって溶かされた骨を再生させる治療法として、エムドゲインという薬剤を用いる方法があります。エムドゲイン再生療法では、まず歯の表面の汚れを取り除き、溶けた骨の部分にエムドゲインゲル（薬剤）を入れることによって骨の再生を図ります。
骨は再生するのに時間がかかるため、溶けてしまった骨の周りの歯石や膿の袋を取り出しても、骨が再生する前に歯茎や汚れが入り込んでしまい、骨が再生するための隙間がなくなってしまいますが、エムドゲインを用いることで、余分なものが入り込む前に骨を再生させることが可能となります。

エムドゲインの主成分

エムドゲインの主成分である「エナメルマトリックスデリバティブ」は、子どもの頃の歯が生えてくる際に重要なタンパク質の一種でできています。

事前に十分な診査を行い、最適な治療法をご提案します

歯周組織再生治療には様々なメリットがありますが、決して万能ではありません。また歯周病の進行段階によっても、有効な治療法は変わります。
当院では、事前に精密な検査を行い、患者様一人ひとりのお口の状態に合わせた治療法をご提案しております。歯周病でお悩みの方は、まずは一度当院へお問い合わせください。

歯周組織再生療法のメリット・デメリット

歯周組織再生療法のメリット

歯周病の抑制・再発リスクを低減できる

歯周病によって失われた歯周組織（歯槽骨や歯根膜など）を再生させることで、適切な歯磨きがしやすくなり、プラークや歯石の溜まりにくいお口の環境をつくることができます。これにより歯周病の進行を抑え、再発のリスクを下げることが可能です。

歯周組織再生療法のデメリット

全体的に下がっている骨は再生できない
溶けてしまったすべての骨が戻るわけではない
歯茎が下がってしまう場合がある
治療後のメインテナンスを怠ると元の状態に戻ってしまう
糖尿病や骨粗しょう症などの方には適用できない
喫煙している方は効果がほとんど得られない

再生可能な骨の形（適応症について）

骨が垂直的に溶けており、周りに骨の壁が残っている場合

骨が水平的に横に溶けているケースでは骨を作ることはできません

治療の流れ

歯周病の検査まずは各種検査を行い、歯周病の状態を確認します。歯周ポケットや歯の揺れ、レントゲン撮影、細菌検査などを行い、現状をしっかりと把握してから診療を進めていきます。
セルフケアの指導 再生療法を行なっても、毎日の適切なケアができていないとすぐに元の状態に戻ってしまうため、歯周病の原因である歯周病菌を患者様ご自身で適切に取り除けるように、正しい歯ブラシやデンタルフロスの仕方についてお伝えします。歯の周りの細菌が20％以下まで取れるようにしていく必要があります。
歯石の除去 外科的な処置をせずに取れる歯石はすべて除去します。歯石には歯周病菌が入り込んでいたり、歯茎の腫れの原因にもなります。また、腫れや細菌が残っていると再生療法の成功率が下がってしまうため、徹底して歯石を取り除きます。
再検査 歯磨きや歯石の除去によって、細菌数の減少や腫れが引いたかなど状態を確認します。改善を確認できれば、再生療法へと進むことができます。
CTによる精査 CTレントゲンで立体的な骨の吸収状態を確認し、どの位置のどのくらいの骨の吸収があるのかを詳細に把握します。エムドゲインのみで再生可能か、骨の移植や人工骨も併用して再生させるのかについても検討します。
再生療法の実施麻酔を施してから、歯茎を開いて歯の周りに付いている汚れや歯石をキレイに取り除きます。汚れが少しでも残っていると再発の原因となったり、骨の再生の妨げとなるため、丁寧に除去していきます。その後、エムドゲインの薬剤を入れて縫合します。
消毒・抜糸 消毒は翌日、２・３日後、一週間後となるべく短い間隔で行うようにします。抜糸までは歯ブラシが当てられないため、歯科医院にて汚れを取り除きます。10日～14日ほどで抜糸を行います。
再検査 ２～３ヶ月ほどで再生した状態の再検査を行います。歯周ポケット検査やレントゲン検査等を行い、骨がどのくらい再生したかを確認します。
メインテナンス 最初は月一回程度の頻度で通院していただき、お口の中のメインテナンスを行います。半年から一年ほど継続し、安定してきたら徐々に間隔を広げていきます。ただし、間が空いてしまうと元に戻ってしまう可能性があるため、メインテナンスは欠かせません。