歯髄保存治療

歯の神経を守り長く保つ
～歯髄保存治療～

「歯髄（しずい）」とは、歯の内部にある神経や血管のことを指します。歯髄は、歯に栄養を供給したり、外部からの刺激を感受するといった防御機構の機能を持っており、歯の健康を維持する上で大切な役割を果たしています。
歯髄を失ってしまうと、歯は外部からの刺激に弱くなり、歯質自体も脆くなることで、歯そのものの寿命を縮めてしまうことになるため、大切な歯を長く使っていくためには、できる限り歯髄を残すことが重要です。痛みを放置すると、根尖病変（根の先に炎症が起こって膿が溜まっている病変）になる可能性が高くなります。
しかし、深い虫歯が歯髄に達してしまった場合や、外傷により歯が折れてしまい歯髄が露出してしまった場合など、通常では歯髄を除去しなければならないケースがあります。そうしたケースで、歯髄を除去せずに残すための治療法が「歯髄保存治療」なのです

歯髄を残すために
重要なポイントについて

近年の歯髄保存治療では、新たな治療薬の開発により、従来に比べ安定した治療成績を出すことができるようになってきています。当院では、可能なかぎり患者様の歯髄を残すために、以下のポイントを重視して歯髄保存治療を行い、治療の成功率を最大限に高めています。

1. 的確に診査・診断します

   歯髄は、ただ残せばいいというものではありません。感染してしている歯髄や既に死んでしまった歯髄を残してしまえば、汚染された毒素によってより重篤な問題を引き起こす場合もあるため、炎症を起こした残せない状態の歯髄は、適切に除去するという判断も必要となります。

   そのため、患者様に大きな虫歯があった場合には、まず感染源を除去した後、「この歯の歯髄を残すべきかどうか」を的確に診断できることが鍵となります。

   また、きちんと診査をすることで、一部を取り除けば大半の歯髄を残すことができるケースも多々あります。当院ではこれまでの症例実績に基づき、マイクロスコープによる歯髄の出血の有無等を確認する診査や、患者様の感じる痛み方の微妙な違いによる判別など様々な観点から精査し、的確な診断をいたします。

   
2. インフォームドコンセントを
   徹底します

   もし患者様への事前の説明が不足し、ご理解とご納得を頂けないまま治療を開始して終わってしまえば、例えそれが適切な治療だったとしても、「本当に神経を抜く必要はあったのだろうか」と、患者様は歯医者に対して不信感をお持ちになるかもしれません。

   当院では、診断に至った理由から治療におけるメリット・デメリット等も含め、分かりやすく丁寧にお伝えさせていただきます。さらにマイクロスコープで全治療を記録し、治療の根拠についても明確にご説明しております。患者様ご自身に自分が受ける治療について、きちんとご理解とご納得をしていただいてから治療を開始いたします。

   
3. 最適な材料を選択し、緻密な治療を
   行います マイクロスコープを用いて、歯髄に刺激を与えないよう細心の注意を払いながら虫歯を除去するとともに、歯の状況に合わせて適切な薬剤と方法を選択して治療を行うことが重要です。マイクロスコープによる拡大視野で、小さな歯髄の露出も見逃さず緻密に歯髄保存治療を行い、歯髄を残すために全力を尽くします
4. 精密な修復治療で再発を防ぎます 歯髄を残すことができたら、除去した歯の部分を詰め物などの修復物で補う必要があります。この時、詰め物の質や詰め物の設置の仕方の精度が低ければ、歯髄を残すことができても、歯の中に再び菌が侵入してしまい、虫歯を再発する原因となってしまいます。
   治療後に新たな菌が歯の中に侵入することのないように、精度の高い適切な材料を選択し、それを隙間や段差なく緻密に修復治療を行うことが長期維持のために重要となります。
5. 治療後も長期的なサポートをします 歯髄保存治療は、予後の適切なメインテナンスと経過観察も重要です。稀ではありますが、長く虫歯にさらされてきた弱った歯髄を歯髄保存治療で残せても、経過観察を行う中で痛みもなく歯髄が死んでしまうケースがあります。
   治療を終えた後は、半年～1年に1回ほどのペースで予後の状態を確認させていただき、もし問題が生じていればすぐに適切な対処をするなど責任を持ってサポートいたします。

当院では、患者様の大切な歯の寿命を可能なかぎり延ばすために、これら全てを高い精度で実施しております。

当院で治療した症例を
掲載しています

当院で行った歯髄保存治療の症例を掲載していますので、是非ご覧ください。